【ネタバレ】夏彦ルートクリア後感想と考察
ノルン、正直初回はガーーッと勢いでクリアした感が否めないので、ED回収も兼ねてぽちぽちやり直してます。
とりあえず真っ先に二周目に取り掛かった夏彦さんの感想です。個人ルート感想のスタートダッシュを担当していただいたのに恐縮ですが、夏彦さんは最後にプレイすることをおすすめします( )
夏彦さんには毎度たいへん萌え悶えさせていただいております。深琴組やっぱり大好きです。
以下、ふんだんなネタバレを含んだ感想です。
ちなみに筆者は深琴組を箱で推している為いろいろ偏ってます。
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◇誰とも組まないという選択
夏彦ルートに入る条件は、ペア選択の際に「誰ともペアを組まない」を選ぶことですが
これはこれでなんとも深琴らしい選択だな、と思います。
深琴組ってなんとも不思議で、朔也と組むのもしっくりくるし、一月と組むのもしっくりくるし、誰とも組まないのもしっくりくる。それぞれに確固たる理由があるからです。
どの選択も深琴らしくて、どのルートも私は大好きです。
話を戻して、「誰とも組まない」の選択ですが
駆が「深琴チームは3人だから、あぶれた1人は『いけにえ』だ(1人で行動=ペアの監視がないので、なにかあったときに真っ先に疑われる)」と言ったのを気にして自らがいけにえになることを選んだのか(朔也(と一月)を気遣った?)とか、
朔也を一人にしないかつ、疑いを捨てきれない一月をひとりにしないためにこの選択をしたのかとか、
朔也と組んだら朔也が視た未来のように「大切な人を守って死ん」でしまうかもしれないからこの選択をしたのかとか、
自己犠牲的な面のある深琴らしい選択だなと。(深琴の自己犠牲的なところについては夏彦さんもなんか言及してた気がする)
夏彦ルートに限らず、深琴のルートはどれも朔也の存在がとてもとても大きいので、
彼を気遣っての選択であることは間違いないと思います。
1人で…と思いきや、同じくペアのいない(組む必要がないから)空汰と一緒に行動するようになる深琴さん。夏彦ルートでは空汰が結構がんばってくれるのでポイント高いです。
そして調べているうちに、「この船はなんだかおかしい」ということに気づきはじめます。船のいびつさを客観的に見てくれる存在(=空汰)がいたから気づけたのだろうと思うと空汰有能。
ヤバいなんか変どうにかしなきゃ…と思った矢先で胸元開きすぎな室星お兄さんに船から突き落とされ(夏彦はSだけど頑張ってねという不安をあおるだけの励まし?付き)、いよいよ夏彦さんのお船での生活が始まるわけです。
◇【妄想】異常にダサい船のデザイン
しかしダサいんだこの船が…
各所でハイセンス(笑)ともっぱらの評判の船ですが、この異様にダサいといいますか、子供っぽいデザインも夏彦の行動や性格を暗喩してるんじゃないかなぁ、などと思ったり。
船のスクショとり忘れたんで今度載せます。
後述しますが、夏彦がリセットを阻止しようとする理由のひとつは「人類が培ってきた知識や学問、研究の成果がリセットによって失われてしまうと、いつまでも発展しないままだから」です。
夏彦は研究者であり、研究者というのは好奇心の塊ですからほんとに子供っぽいんです。私の身の回りの話ですけど。
そしてこれまた後述しますが、夏彦は「戦争を止める」といいながら戦争に参加しています。この矛盾に気づきながらも己の目的のために行動を止められない。このあたりのシーンが、どうしても夏彦がだだをこねているようにしか見えませんでした。
これらのような夏彦の子供っぽさが、船のデザインに表現されているのかなというのは深読みのしすぎでしょうか。
◇深琴の「強さ」と「弱さ」について
夏彦から話を聞いて、世界で戦争が起こっていることを知ります。このあたりのくだりの深琴のセリフは好きなものが多いです。
「力のある者が動かないのは罪よ」とか。襲撃犯に連れ去られて、戦争を目の当たりにして、怖くないはずがないのに、こうやって向き合っていけるのは凄いと思う。
惨状を目の当たりにした深琴は、戦争を止めるべく夏彦に協力することを決めます。
ここにきてもやっぱり朔也のことを思っているのには泣けました。
ここいらで夏彦お手製白ヒヨコさんが登場します。このあたりのシーンも好きです。
白ヒヨコは、深琴のことを「弱い人だ」と断言します。このシーンが典型的ですが、夏彦ルートは一月ルートと対になっていておもしろいです。それについては一月さん感想で書きます。たぶん。
弱い人。…たったその一言は、私のすべてを言い当てているような気がした。
虚勢を張って何でもできるように振る舞って…そうすれば、みんなが安心してくれると思ったから。
本当は、弱いくせに。
堰をきったように泣き出す深琴に対してのヒヨコの反応がこれまた好きでして。
(そういえば夏彦は「泣き顔に惚れた」らしいけどここで既に落ちてたのかな)
これを読んだとき、ああもうほんとそれなわかる…と若者言葉てんこもりみたいな感想しか出てこなかった己のボキャブラリーを呪いたいくらいには全力同意です。
さっき少し言及した「力のある者が動かないのは罪よ」というせりふにも、恐怖におびえながらも前を向く深琴の気高さが出ていると思う。本当に強い人は、恐怖を抱いていてもそれを感じさせないでしょうから。あああ…深琴大好きだ…
◇白ヒヨコの存在
そして深琴はだんだん白ヒヨコに心を許していきます。
夏彦って時々気が利くよね。
突然拉致されて、得体のしれないサディストと変態しかいない環境に放り込まれて不安でないわけがないんです。多分深琴の人生の中で親族や朔也と離れ離れになったのってこれが初めてなのではないかと思いますし、余計に不安でしょう。
そんな事情まで夏彦が汲んでいたとは思いませんが、深琴が欲しているものを見抜く力はあるのかな。
…でも正直、白ヒヨコを作った時点では能力者殺す気満々だったんだと思うんですけど、
なんでこんなに深琴に優しくしたんだろうか。「懐柔して結界の力を使いやすくするため」なんだろうけど(深琴は脅しがききそうにないしね)、それにしても優しすぎると思う。
やっぱり無理やり連れ去ったことに心のどこかで(本人の自覚はなかったかもしれないけど)責任とか感じてたのかなぁ。夏彦、いい奴だし。
◇戦場を駆け抜けて
夏彦たちと何度も戦場をともにする深琴さん。
深琴って人一倍正義感の強い子だと思う。昔から神子として奉られたのもその要因の一つなんだろうか。
この台詞が大好きなので取り上げさせてください。
夏彦たちは、深琴の結界の力があるからこそ多少の無茶もできる。
深琴は、夏彦に協力することで義心が満たされる。=満足感を得られる。ノルンを守れないこと、朔也を守れないことの罪悪感がまぎれる。
この共依存っぽい関係性が堪らなく好きです。
◇天体観測と近づく心
ある夜突然、夏彦に連れ出されます。
この時点では、まだ夏彦を得体のしれないサディストだと思っているので、何されるんだろう…とおびえつつついていくのが面白いです。
夏彦に連れられて見上げたのは満点の星空でした。思わず「きれい…!」という声が漏れます。
それから夏彦の星講義が始まるわけですね。このシーン、声色から夏彦が本当に星が好きなのだという事が伝わってきます。さすが小野Dは演技が上手いなあと思います。
「もっと星のことを知りたい。教えて」という深琴。いつもはつんけんしてて現実的な彼女ですが、なんでも知りたいという好奇心旺盛さと貪欲さが表れてて好きです。
知らないことはぜんぶ知りたい、行ったことのないところには全部行ってみたい。
ノルンのアニメでは朔也と深琴の幼少期が何度も描かれていて、その中で保護していた鳥を放すシーンがありました。朔也が傷ついてもなお飛ぶ鳥に疑問を抱くのに対し、深琴はどこへでも行きたいもの、と鳥の心理(?)を理解している風です。このシーンでは鳥が深琴にたとえられているのだろうと思いますが、まさに深琴の無鉄砲ともとれる好奇心の旺盛さを表しているいいシーンだなと観ていて思いました。
そういえばこの鳥、青い鳥でしたが、「幸福はすぐそばにある」というこの後の展開(穏やかな日々)の暗喩なんでしょうか。流石に考えすぎか…
昼間は反逆者とその人質という関係ですが、この天体観測のシーンではお互い素です。深琴は夏彦の意外な一面(子供っぽさ、でしょうか)を知り、夏彦は深琴の年相応の少女らしさを知ります。お互いを襲撃犯と人質としか見ていなかった二人ですが、天体観測を重ね、お互いの素を垣間見ていくにつれて、この二人の関係も少しずつ変化していきます。
そして何度目かの天体観測で、夏彦の本心が明かされます。
しかし俺は…人間の未来を見たい。
科学や技術を兵器に使うのではなく、もっとよりよいもののために生かす未来。
未来を見ている、という点では朔也と夏彦は似たものがありますが、
朔也が「死ぬ未来」をみているのに対し、夏彦は「生きる未来」をみています。これもまた、夏彦ルートが他の攻略対象のルートとは対照的に描かれていて面白いところです。
そして、夏彦から借りた本で「夫婦星」の存在を知ります。うしかい座のアークトゥルスとおとめ座のスピカは少しずつ近づいている、という話ですね。なんかすごい!と喜々として(ここのうれしそうな深琴が本当にかわいいです)夏彦のもとに報告しに行こうとしますが、ここで船が襲撃されてしまいます。
この少しずつ近づいていく夫婦星というのが深琴と夏彦のことをたとえているというのは言わずもがなです。星を通して、二人の心は少しずつ近づいていったわけです。
しかし残酷にも、近づいたはずの二人の心はまた離されてしまいます。つらい…
◇揺らぐ心
襲撃の衝撃で重傷を負った深琴と夏彦は、近くの村に担ぎ込まれます。
先に目覚めた深琴が夏彦の容態を見に行くと、そこでボロボロになった夏彦の姿を目の当たりにします。深琴をかばった夏彦は重傷を負ってしまったのでした。
そして気づきます。今なら、夏彦を殺せると。
いくら心が近づこうと、夏彦がノルンを襲い自分を拉致し仲間を殺そうとしている人間であることは変わりません。
ここで殺せば仲間を、朔也を、守れるのではないか…そう思い、ナイフを手にします。
しかし、その手を振り下ろすことはできませんでした。
たしかに夏彦は能力者にとっては敵です。でも、天体観測のときに垣間見えた素の夏彦や、与えてもらった優しさ、そして今回かばってくれたことを思うと、殺せない。もう夏彦を完全悪とは見れなくなってしまったのでしょう。
みんなを裏切ることになった申し訳なさ、そして自分のふがいなさに深琴は涙を流します。おわかりかと思いますが私はこのシーンがメチャクチャ好きです。
夏彦か、仲間かで深琴の心は揺れるのでした。
◇ありふれた幸せ
一命はとりとめたものの、記憶を失っていた夏彦。深琴のこともわからなくなってしまいますが、「深琴という名前の大切な女の子がいた」という事実だけはかろうじて覚えていました。記憶を失う前の夏彦は、それほどまでに深琴のことを気にかけていたというわけです。恋愛感情だったかはさておき、ですが。
記憶を失ってしまったから、もう元の生活には戻れない。そうして二人は夏彦の記憶が戻るまで、村の空き家を借りて共同生活を始めます。
夏彦ルートは基本的に殺伐としていて、日常というものはありません。しかし、ここでは朝起きてごはんを食べ、仕事をして寝るという「あたりまえの生活」が送られます。
特別なことは起こらない。でも、そこには今まで自分の使命のためだけに生きてきた夏彦が感じたことのない「ありふれた幸せ」がありました。
そしてある日、夏彦は深琴に「お前にとって俺はなんなんだ」と問いかけます。
今まで夏彦に対する感情を処理していなかった深琴ですが、ここで彼が自分にとってどんな存在なのかを考えます。そしてお互いの想いが通じあうわけです。
しかし、穏やかで幸福な生活なはずなのにどこか寂しげであぶなっかしい。なんだか一月が見せる夢と似た雰囲気があります。いつ壊れてしまうのかわからない不安があるというか。
私の不安は悲しいかな的中し、ロンさんが乗り込んできます。ロンは己のメリットがあるからと夏彦に協力しているのだから、その夏彦が仕事もせずぬるま湯に浸っているのは困っちゃうわけです。そこで夏彦は記憶を取り戻し、自分の使命をもう一度自覚するのでした。幸せで穏やかな日々はここで終わってしまいます。
◇【考察】夏彦の記憶について
友人と夏彦ルートの話をすると、いつも「本当はもっと早い段階で記憶を取り戻していたが、それを隠していたのではないか」という話になります。
今まで使命に縛られてきた(自分で自分を縛ってただけですが)夏彦にとって、好きな人と過ごす穏やかな日々はかけがえのないものだったと思います。(夏彦自身、そのようなことを言っています)
このまま記憶が戻らないふりをしておけばぬるま湯につかっていられる…と、あえて隠していたのではないかな、と邪推してしまうのは野暮でしょうか。真偽はわかりません…FDで語られてたりするんでしょうか。早くラストイーラやりたい…いかんせん積みゲーが多い…
◇島へ
平穏な生活は終わり、二人は船に戻ります。
しかし、この気持ち(深琴を好きだという気持ち)は変わりないと夏彦はいいます。穏やかな日々はもう終わってしまったけれど、二人の関係は終わっていなかったと。この対比がとても好きです。
そして能力者を殺す気はないことを伝え、そして「世界」のある島を目指しはじめます。
夏彦、ベタ惚れですね。このシーン毎度毎度笑っちゃいます、ごめんななつひこ。
しかしこの二人、見事な美男美女で絵になるなあ…
島に着いた深琴は、そこでノルンの面々と再会します。
ここの一月の夏彦敵視っぷりがすごい。そういえば敵でしたね夏彦…
そして、駆の不在を知ります。こはると千里と朔也が言うには、駆は結賀史狼の駒になってしまったとのこと。
駆が結局どうなってしまったのかは最後までわからないままです(これについては後述)。ここのこはると千里の表情が切ない…。
そしてアイオンと対面。
アイオンは夏彦の矛盾を問いただします。「兵器のない世界を謳いながら、その夢の実現のために兵器を使っているではないか」と。夏彦の方法では平和な世など望めないと言っているわけです。
それに対して夏彦は「どんな兵器をも凌駕する強大な兵器を作れば…」と反論します。でも、それじゃあ恐怖政治と一緒ですよね。きっと彼自身、この矛盾を自覚していたのだとは思います。ずっと目をそらしていたのだろうけど。世界であるアイオンに今までの行為を全否定された夏彦の絶望は計り知れません。
人の世は人によって統べられなければならない、だから機械である自分が世界を支配することはできないとアイオンは言います。
そして深琴の「じゃあ、あなたはどうすれば世界は平和になると思うの?」という問いに対し、武器を捨てるしかない、と答えます。人は力を失うことを何より恐れるけれど、それしかないと。
ここで、恋愛ENDと悲恋ENDが分岐します。
♡恋愛END
アイオンの言葉を聞き、夏彦は兵器を手放します。
ノルンの能力者達も同様の理由からか能力をアイオンに返還し、それぞれの道を歩み始めます。朔也たちは日本へ戻り、能力を返さなかった一月と平士は能力を使って駆を取り戻しに旅立つのでした。たしかに精神感応力と夢見の力があれば夢の中に駆を呼び出したりできそう。こはるちゃんならこの二人についていきそうな気もしますが、ついていかないのは、やはり千里と結ばれたからなのでしょうか。
そして、深琴と夏彦は島に残り、夏彦が本来やりたがっていた星の研究をすることを決意します。朔也とはここでお別れです。
ここの朔也の言葉が好きです。
この言葉にどれだけの感情が込められているのかと思うと泣けてきます。
誰よりも深琴の幸せを願い続けてきた朔也だから、後ろ向きな未来をみている自分よりも前向きな未来を見ているあの男のほうが深琴を幸せにしてやれるからと思っての別離なのかな、と思います。
自分の手で幸せにしてやりたかった、でもできなかった。それなら自分はそばにいないほうがよいと。
朔也には幸せになってほしいと心の底から思います。
(あれ…朔也ルートの感想みたいになってる…)
★悲恋END(考察)
悲恋END、かなり好きです。
アイオンの言葉を聞いてもなお、兵器を手放さなかった夏彦。深琴に別れを告げ、戦地へと戻っていきます。
数日後深琴のもとに届けられたのは、彼の訃報でした。
愛する人を失った悲しみに暮れ、深琴は心を閉ざしていきます。
そして「あの人のいない世界など、いらない」と思い始めます。*1
今まで必死に世界を、みんなを守ってきた彼女が、もう守る意思を完全に失ってしまった、ということ。深琴の絶望の深さがわかるセリフです。
それを見かねた朔也は七海に依頼して*2、深琴の持っている夏彦との記憶を消してしまいます。
この行動も、朔也が深琴の幸せを願った故なのでしょう。
このあとの深琴の独白が心を締め付けるものとなっています。
深い、深い闇の底で、私は夢を見ていた。
知らない人と星の海で眠る夢を。
このモノローグのあと、二人が手をつないで眠っているCGが映し出されておしまい、です。
ここから先は完全に私の妄想というかお得意の深読みなのですが、
このCGにおける深琴は「記憶を消される前の深琴」なのではないかと思っています。
記憶を消されたことによって、深琴は一度死んだのだ、ということが言いたいのかな…などと考えては悶々としてます。もちろん肉体的な死ではなく、精神的な死です。
そしてこのCG。星の海で手を繋ぐ二人、という絵で、なんとも物悲しいCGですが、これが記憶を消される前の深琴の幸せを暗喩しているのかなと。
星の海=大好きなものに囲まれて、大好きな人とともにいる、という。字面だけ見ると恋愛EDと状況は同じですね。
このあと、記憶を消された深琴が、そして能力者たちがどうなったのかはわかりません。ですが、夏彦を本当に失ってしまった(幸せだった記憶もろとも)深琴にとって、この先は「深い深い闇」でしかないのかもしれません。
◆総評
長くなってしまった…
夏彦が記憶喪失になったあとに星を見に行く話とか、書きたかったことはまだまだあるんですが抑えます。笑
そういえば、悲恋で深琴が記憶を消されるのって夏彦の記憶喪失と被りますね。意図的なのかな。
とりあえず夏深にハマってしまった故、星とか夜空のモチーフに敏感になってしまった私がいます。